新聞の、これから

タイトルは、昔NHKで放送していた「日本の、これから」のパクリです。

新聞業界の課題として「年寄りしか新聞を読んでいない」ことがよく挙げられます。しかしこれは、新聞業界の問題点を示す表現としては、間違いとはいえませんが、正確でもないと思います。なぜなら、今後ますます高齢社会化していく我が国においては、高齢者を相手にしていること自体は商売上、決して悪いことではないからです。しかし、現実の新聞業界はどうかというと、もちろん危機に立たされています。販売収入も広告収入も、着実に減少し続けており、回復どころか現状維持すらままなっていません。将来も決してままなることはないでしょう。


新聞の本当の危機は何か?「高齢者しか読まない」のではなく、「特定の世代しか読んでおらず、その世代が高齢者になっている」ことではないでしょうか?例えば、「70歳以上しか読まない媒体」と「1944年より前に生まれた人しか読まない媒体」では、現在(2014年)における読者層は同じですが、将来性はまるで違います。前者には未来がありますが、後者にはありません。後者の経営は、年を追うごとに厳しくなります。20年もすればお終いでしょう。

出版不況と言われる中でも、好調な媒体はあります。『いきいき』や『健康21』などの健康雑誌もその一つです。彼らの商売相手は、間違いなく高齢者です。この点は新聞社も同じですが、残念ながら新聞業界は絶不調です。この違いは何から来るのか。上に書いた、前者と後者の違いではないでしょうか。

健康雑誌には、新規参入者が常にいます。健康な若者でも、年をとって健康が気になるようになれば、新たに読者になる可能性があります。ビジネスモデルとしては、継続的です。翻って新聞はどうか。新聞を読む習慣を持たない若者が、ある日突然、紙の新聞を読み始める。そんなことが、果たしてあるでしょうか?もちろんあるはずありません。ネットと共に生きる若者は、たとえ年月を経て高齢者の仲間入りをしても、残念ながら新聞など読まないでしょう。

新規参入者なき業界に未来はありません。どの程度粘れるかは別にして、潰れるのは時間の問題です。この意味では、巷で言われる「ANYは勝ち組、MSは負け組」といった議論は、ある意味では空しい議論です。(もちろん、現在そこで働く個人にとって重要であることは否定出来ませんが。)

では、新聞が生き残るにはどうすればいいのでしょうか?

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

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